メガネが掛けられない子供たち

秋田県大館市のメガネ専門店 Prima(プリーマ)と申します。
ドイツ語なんですが、例えばプレゼントをいただいた時に「最高!」とか
「素敵!」てな感じで発する言葉かと。デパート内から移転して17年に
なりますが、未だに「プーリマ」とか「プリマ」とか言われます(笑)

 

私の最初のブログでは、何らかの原因で

メガネが安定して掛けられない子供たちのお話しをします。


最初は0才の赤ちゃんでした。遠視度数が強くレンズは厚く重く、

小さなお顔にきちんと乗せるのは一苦労。

鼻あてを子供用に替え、手作りのゴムバンドで押さえるしか

ありませんでしたが、メガネを掛けると見えるのでしょう、

まだよちよち歩きの子がニッコリ笑ってくれると涙が出そう
になりました。その子も間もなく中学生です。


そして、眼科の先生から

 

「小耳症の子供さんがメガネを必要としているから
                力になってあげて!」

 

と紹介していただいたのがKくん。生まれつきお耳が
小さかったり形が違っていたりするので、

メガネを平行に保つのがとても難しいのです。


同じような状態の子供さんも大人も
沢山いるはず!とメガネ屋仲間に
方法を聞きまくりました。 
ブログに載せたHELP!が
この画像です。 頭の後ろには長さ
調節の出来るバンドを、上から引っ張り
上げられるように頭上にもゴムを
取り付けてみましたが、解決しませんでした。

 

 

ところがこのブログを見てくれた福井県鯖江市のフレームメーカー、

金谷眼鏡の社長さんが早速フレーム造りの名乗りを上げてくださって、

なんと秋田まで来てくださいました! 

 

小売店がこんなに困っているのだからメーカーとして
何とかしなければ!!と思ってくださったそうです。

彼の男気と行動力が無かったら、

この後にお話しする保持器具は生れませんでした。


フレームにするのか器具にするのか、どの部分で保持すれば良いのか、

素材は何にする?それをどう留める? 

福井や秋田でお会いしたりスカイプで話し合い、
大阪のカチューシャ職人さんを見つけて頼み込み(引きずり込んだのかも!)
丸いゴムを開発者の社長さんから沢山提供していただいて、どうくっつけるか
何度がベストかそれぞれ遠距離を乗り越えて?!試行錯誤しました。


どこで完成と言えば良いのだろう?と、皆で少し悩みましたがまずは世の中に
出してみよう!そして改良していこう!

ということで、2013年7月から発売を開始したのが「クロスホルダー」です。


モデルは、小耳症の子供さんを持つ親御さんたち
で作るサークルで知り合った、鹿角市のHくん
です。私は気にして綺麗なお耳の方向から
写したのですが、それじゃ分からないからこっち
から写して!と反対側を撮らせてくれました。


実際に使ってくれています。お友達から


「これはなぁに?」と聞かれると、

 

「メガネを留める道具だよ!」って答えるんですって。


お友達は、ふぅ~ん!と納得すると後は特別
何も言わないよ!と教えてくれました。
プリーマさんと知り合えて幸せだと言ってくれた
彼ももうすぐ高校生。形成手術を受けて綺麗なお耳になりました。 

とっても痛かったそうです;;

お名前を上げられなかった沢山の方たちからも、

本当に協力していただきました。 

 

 

大阪の小耳症の子供さんたちには、バンドや
丸ゴム(後にピタリングとして発売)を実際に使ってみていただいたり、
金谷氏の子供さんたちは最初から全面的に協力し応援してくださって
この活動に「しあわせメガネ委員会」と名付けて委員になってくれました。


初めてのブログでこのお話をしたのは、今回発足したMORE快適眼鏡研究会も
同じだからです。 メガネで困っている方たちのお役に立ちたい!と一途に思う
全国のメガネ屋仲間の集まりです。この思いが、全国、全世界に広がりますように!

 

おっと!大切な人を忘れていました。


実際にクロスホルダーを1個1個手作りしてくださっている、

三笠コーム製作所の三笠さん。(通称よっさん)
理想的なカチューシャは無いか、ネットで探していた金谷氏が見つけ、

 

私は
「これしかない!」

 

と思い夜中に思いの丈をメールしました。メガネが掛けられずに
困っている子供たちの為に協力してもらえないでしょうかと。
私たちに引きずり込まれて忙しくてかなわん!と言いながら、

子供たちの為に涙する私と同い年の心優しい大阪のおっちゃんです。


難しいステンレスの細い線をロー付け出来るのは、

彼の技術があるからこそ。


そして、こんな活動も。

 

小耳症の子供さんは聞こえに障害を持っている子も居ます。 

前記のサークルで知り合った子供さんは
骨伝導補聴器をつけなければいけないのに、

小耳症の為に保持することが出来ないと相談を受けました。


大人用の器具はあるそうですね。補聴器会社へ直談判
されに行かれた熱心なお母さんでした。でも、断られたそうです。

 

クロスホルダーを知ったお母さんから連絡を受け、三笠さんへご紹介。
相談に来られたお母さんは、自分で針金で工夫した器具を大きな紙袋にいっぱい
持って来られたのですって。 三笠さんはお母さんの苦労を目の当たりにして


「涙出たわ」と言っていました。 

 

 

 

 

画像は三笠さんが小さな男の子の為に作った
補聴器保持器具です。何個も何個も作り直したそうです。

どんどん成長しますから作り直しも必要になりますしね。

 
MOREに共感してくださる一般の方たちが、

活動していくメガネ屋が、そして
こんな風にそれを支えてくれる人たちが、

幸せの種を沢山撒いてくれますように!

 

記  めがね職人のお店 プリーマ
     吉田 敦子